DAILY DISCOVERY デイリーディスカバリー

ラジオデイズ

2025.04.30

自宅にラジオを買いたいなって、久しぶりに思いました。
きっかけは2025年の四月から始まった、地元FM局の新しい音楽番組でした。毎週土曜日夜6時からの1時間。さりげない日常を描いたショートストーリーとともに、80年代90年代のジャパニーズロックやポップスがたっぷり放送されています。
私が14歳から34歳までの20年間に聴いていた音楽。多感な青春時代、大人になろうと必死だった20代、そして建築工房Answerを立ち上げた頃。いずれ自分にとって大切な、忘れ難い楽曲が山ほどありました。

ラジオとの思い出。
中学や高校時代は「FMステーション」や「FMレコパル」などの雑誌を買い、番組でかけられる曲をあらかじめ予習してラジカセでカセットテープに録音したものです。当時はこれを「エアチェック」と言い、最新の音楽情報をなんとなく友人と競い合ったりして。
いいと思った曲は自分でレコードを買ったり、友人と貸し借りしたりして、さらに自分なりのベストテープを編集したことを覚えています。音楽の入口はラジオとレコード店でした。

その新しい音楽番組を聴いていると、曲自体のノスタルジーよりも、むしろそれにまつわる自分自身の思い出が深いことに気付かされます。クラスの女性から貰ったカセットテープ、初めて買った車の中で繰り返し聴いた大好きなアーティスト、ちょっとしんどい時に背中を押してくれたナンバー…。あっという間に、その時々の私の元へと連れて行ってくれるのです。〝擦り切れるほど聴いた”という体感を伴って音楽に向き合っていた時代があってこそ、今の私があるのだと思えます。

「初めてモデルハウスを訪れた時に、私の好きなアーティストの、しかも青春時代の曲がずっとかかっていました」施主様がこんなお話をされました。「この曲をセレクトする方なら、きっと私が気にいるプランを書いてくれるという予感がありました」とも。
好きな音楽は人の一瞬を素敵な時間にし、一生を豊かにしてくれる気がします。時に人と人を繋ぎ、新しいインスピレーションを生み出したりもします。

土曜日の夜6時。初めての放送は車を運転しながら聴いていました。番組が終わるまで、帰り道をちょっと遠回りしながら。そして自宅でもラジオを聴く習慣、そのきっかけになりそうだと予感しました。リビングでくつろぎながらラジオを聴く暮らしもいい。我が家のチェストの上にお似合いなのは、やっぱりチボリオーディオのクラシックなタイプのラジオかな。そんなことを考えていました。