我が家の冬、実は薪ストーブのあるリビングが最高の寝場所だったりする。天井から降ってくるような独特の暖かさ。時々マットレスをリビングに持ち込み、薪ストーブのそばで朝まで眠る。冬でもTシャツに短パン。布団をかけずとも十分に暖かい。この特等席を捨ててまで寝室に向かうのはあまりにも勿体ない。睡眠は必ずしも寝室でなくていい。夏であれば風通しのいい場所へ。気分によって眠る空間を変えてもいいのではないかと思う。日々の暮らしは誰かに見せるものではないし、家の中では本当の快適さを優先して誰もがもっとフレキシブルであっていいはず。
私は季節とともに、ときに気分次第で好きな場所を探し求めて、我が家を遊牧民のように移動している。朝目を覚ますと、そこはリビング。本棚や薪ストーブやテーブルなどの家具、一瞬にして自分の好きなものに囲まれている幸せ…。
私たちは部屋の名前に案外と縛られているのかもしれない。「寝室」とか「子供部屋」とか。部屋は名前を付けることによって使い方が限定されてしまう。家づくりの打合せが始まった段階で、図面にスペースの名称は便宜上必要ではある。しかし建物が完成した瞬間、部屋の名称はもう取り払ってしまったほうがいいのかも。
本を読んだり、くつろいだり、食事をしたり、お茶したり。一つひとつの行動すべてを自由にしたい。決められた場所でルーティンのように過ごすのではなく、時には大きな窓から差し込む陽の光を追いかけるように、その場所を選んだっていい。そんな暮らしがあってもいいと思う。
私の場合、仕事と休日も。その両方の時間を無理やり分けずとも、むしろそれぞれに明確な線引きがないことが自分にとってちょうどよいライフスタイルであることに、ちょっと似ている気がする。