DAILY DISCOVERY デイリーディスカバリー

家具は家族

2024.07.03

家は人が暮らして人が使って、その家族なりの完成品になっていく。価値を上書きしていく自分たちだけの家。それは日々の暮らしに密に関わる家具も含めてのことだと思う。空間と家具と人の間には、その家にふさわしいちょうどいい距離感があるような気がする。

収納のためにしつらう造作もいいのだが、家具の力を借りてなすがままに変化する、作り付けない収納もいい。家具は自由。現在の価値観に縛られず、やがてのちの暮らしや気持ちの変化とともにレイアウトは自在だ。暮らしに新たな展開が生まれる。

お気に入りの家具を選ぶ楽しみを想像してほしい。ダイニングテーブルと椅子、ソファ、チェスト、テレビ台、コンソールテーブル、デイベッド…。家具との出会いは運命。その審美眼によって、時に自身が表現したいものを際立たせる。日々の暮らしのなかで見えるものは、毎日の気分つまりは人生に大きく影響する。間取りに合わせた造作より、幾通りもの家具の模様替えに心は躍る。

サステナブルな家具の在り方について考える。シンプルで飽きのこないデザイン、長く愛用できる耐久性や高い機能性を併せ持つ自然素材の家具。経年変化や素朴な質感による美しさは、居住空間に温かみをもたらす。もちろんAnswerの家との親和性もいい。どこか潜在的に、環境や社会に配慮した素材選びや生産体制など、ものづくりの思想や価値観に共感するところがあるのかもしれない。

家族とは手をかけて「育む」もの。長い歳月をともに過ごす家具もまた、傷や汚れを自分たちで修復しながら愛着を重ねていく。

自然素材の家具との長い付き合いは、かつての叡智との対話である。家具を通しながら、先人の知恵に触発されている。家具が持つ実用性の中にある「美しさ」は人間性と同じで、だからこそ時代を超越して愛せるのだと思う。