DAILY DISCOVERY デイリーディスカバリー

思考と試行錯誤

2024.08.08

やりたいこと、やりたくてしょうがないことを仕事にできるのは、つくづく幸せなことだ。私にとってのプランニングはそれにあたる。もちろん家づくりはお客様の想いやご要望があってスタートするが、具体的なプランへと落とし込むには、様々なイメージやアイデアを蓄積しておくことが大切だと思っている。ふだんから本を読んだり、映画やネットを観てインプットしていることが、ひいてはスキルの再習得にもつながっている気がする。

いざプランを描き始めると、経験や知識に後押しされて頭の中はクリアになっていく。そしてペンは進み、やがてランナーズハイのようなプランナーズハイとでも言うべき高揚感がやってくる。時折滞ることもある。それでも考えに考え、考え抜いてこそ新たな高揚感とともにプランは完成へと向かう。やや辛めの暑さを楽しんでこそのサウナのように、プランニングを楽しむ自分がいる。今日出来上がったと思っても、翌日にはもっとより良い完成形があるんじゃないかと自問自答を繰り返す。愛犬との散歩の途中や運転中など、ふと何かの瞬間に答えが見えてくることもある。まるでプランが自ら成長していく過程を子細に追視しているような感覚…。

長らくスタジオジブリ宮崎駿作品の音楽を担当されている久石譲さんの話で、完成後に作曲のプロセスを思い出せないことがあると聞いた。どうやって最後のピースを組み立てたのか、というような。今なら私にも少しわかる。

思考の先に試行錯誤を繰り返し、さらなる思考を重ねて、やっとお客様へプランをお見せできるという幸せな瞬間。昨日まで何もなかったのに、頑張れば今日には新しい何かが誕生している。未来を自分の思う方向へ切り拓く術、それが思考するということだと思う。