2023年冬。どうしても行きたくて行きたくて、仙台で開催された浜田省吾さんのツアーに行ってきました。そのツアーは「Welcome back to The Rock Show youth inthe “JUKEBOX”」と題し、デビューから1985年くらいまでのナンバーでセットリストが組まれていました。ほとんど知っているタイトルばかり、そしてほとんど口ずさめる歌ばかりでした。

セットリストはアーティストがライブやコンサートで演奏する曲のリストを順番に記したものです。自分が聴きたかった曲が重なった、神がかり的な状態を「神セトリ」なんて言ったりもします。

あの日の夜は、私にとってまさに神セトリでした。

一日の飲みを締めくくるのは、時にはひとりで、時には気の置けない仲間とたどり着くとあるレコードバー。店ではそれぞれのお客さんがその日の気分でリクエストすることもありますが、そこからどんどんと派生して店主自ら選曲していく流れこそが、本当の醍醐味だったりします。

この曲ありますか？の問いに、「あるよ」と即答。それをきっかけに次は何のレコードがかかるのかわくわくしながら待つ瞬間。そしてプロに任せられるという安心感。自分が好きなアーティストや曲だけを聴くのも幸せな時間ですが、思いもよらない曲やその組み合わせで心を動かされるのも幸せなひととき。単純に自分が知らなかったことを知るという知的好奇心だけでなく、呼び起こされる記憶や思い出こそが自分にとって大切なことなんだなって思います。こんなお店は貴重。決して変えが効かないサードプレイスです。

予想もしていないある日のセットリストが、一日の疲れを癒しどこか遠いところへと連れて行ってくれるのです。